みなさんが口にしている砂糖がつくられるまでは、
多くの手間と長い時間がかけられています。
原料であるてん菜の栽培から、
砂糖になるまでの過程を紹介します。
指南1/砂糖は畑から
ご存知か?
砂糖は植物から
生まれるのじゃ!
原料は「てん菜」「さとうきび」
砂糖の原料は、沖縄や鹿児島の南西諸島で作られる「さとうきび」と、北海道でつくられる「てん菜(ビート)」。中でもてん菜は、北海道を代表する農産物の一つで、日本の生産地は北海道だけ。産地にある工場で砂糖に加工しています。国産原料での砂糖生産量の約8割が、このてん菜から作られる砂糖で占められています。
てん菜ってこんな植物
てん菜(ビート)は、ほうれん草と同じヒユ科アカザ亜科フダンソウ属の植物。学名は「ベータ・ブルガリス」。根がカブや大根に見えることから別名サトウダイコン(砂糖大根)ともいいます。約1kgの砂糖を作るのに必要なてん菜は6kg。大根のような白い根を細かく切って煮出すことで、糖分を抽出し砂糖へと加工されます。
指南2/砂糖ができるまで(畑編)
甘さの決め手は
生産者さんの愛なのじゃ!
たくさんの手間を掛けて
育てられる「てん菜」
てん菜は雪解け前の3月から冬を迎える直前の10月頃まで、長い時間をかけて畑で育てられます。日々変わる気候や天候に気を配りながらていねいに育てる農家さんの愛と、北海道の大地と太陽の恵をたっぷりと受けて成長します。
てん菜栽培の一年 〜種まきから収穫まで〜
-
- 3月中旬
-
種まき・苗づくり
外は雪がまだ残っていますが、暖かいビニールハウスの中でペーパーポットという紙の筒に土と肥料を入れ、てん菜の種を播いて育てます。
-
- 4月下旬〜5月上旬
-
畑に苗を植える
外が暖かくなったら、ビニールハウスで元気に育った苗を畑にぺーパーポットごとに植えていきます。また、種を直接畑にまいて育てる栽培もあります。
-
- 7月
-
畑でぐんぐん成長
植えた後は草取りをしたり、病害虫を防ぎながら育てます。7月ごろの畑は、成長したてん菜の葉で一面が緑で埋め尽くされます。
-
- 9月
-
糖分を蓄える
秋になると、昼と夜の寒暖差が大きくなります。この気温差がとても大切で、砂糖にとって大切な糖分がてん菜の根に蓄えられていきます。
-
- 10〜11月
-
収穫
てん菜は畑で葉と根の上の部分を切り落としてから機械で収穫します。収穫時のてん菜1つの重さは約800g。大きなもので1kg以上になります。
-
- 10月中旬〜
-
工場へ
収穫されたてん菜はさっそくトラックで工場へ運ばれ、砂糖に加工されます。
■映像提供「日本甜菜製糖株式会社」「北海道糖業株式会社」
指南3/砂糖ができるまで(工場編)
てん菜は生の植物!
一刻も早く製糖するのじゃ!
24時間フル稼働の製糖工場で
いよいよ砂糖に
収穫されたてん菜は、砂糖の工場へ運ばれます。てん菜は生の植物なので、スピーディーに加工される必要があります。そのため製糖工場は産地につくられ、収穫期の10月から翌年3月まで、1日24時間休みなく稼働し、毎日砂糖を作り続けます。
製糖工場の製造過程 〜てん菜から砂糖へ〜
-
1.材料受入
畑で収穫されたてん菜が、トラックで工場に運ばれます。
-
2.洗う
付着していた土砂を取り除き、大きな洗浄機できれいに洗います。
-
3.切る
洗ったてん菜をゴボウのように細くスティック状にカットします。
-
4.煮る
約70度の温水に浸して、てん菜に含まれる糖分を抽出します。残った繊維は家畜のエサとして活用します。
-
5.清浄・ろ過
糖分を含んだお湯(糖液)には不純物が含まれているため、糖液に石灰乳を加えて炭酸ガスを反応させ、不純物を沈殿させて取り除きます。
-
6.濃縮
ろ過された糖液の水分を蒸発させ、煮詰めていきます。
-
7.分離
濃縮した糖液から糖分以外のものを取り除きます。
-
8.結晶
濃縮した糖液を結晶缶で煮詰めて砂糖を結晶化させます。ここでは結晶と蜜分(液体)がまだ混ざった状態です。
-
9.分蜜
砂糖の結晶が大きくなったら、遠心分離機で結晶と蜜分を振り分けます。上白糖やグラニュ糖には結晶を使います。
-
10.乾燥・冷却
結晶を乾燥・冷却してサラサラにします。粒状になった結晶をふるいにかけて粒を揃えます。
-
11.計量・包装
できあがった「上白糖・グラニュ糖」をパッケージに詰めます。
-
12.保管・出荷
完成した砂糖を倉庫で保管。年間通して安定した品質で北海道はもちろん全国各地へ出荷されています。
日本で最初の砂糖工場は北海道で誕生!
19世紀、明治政府はてん菜の種を輸入して日本各地で栽培を開始。紋鼈村(もんべつむら・今の伊達市)に日本で初めてのてん菜糖工場を作りました。